大学院・研究

大学院生・留学生のメッセージ

原 宏明 先生 (2008年本学卒業、2015年4月大学院入学、本学博士課程4年)


私の場合は漢方や栄養療法など非常にファジーな領域にも大きな興味があり、それらの臨床における曖昧さを少しでも是正できるような客観的な見方として基礎医学を学びたいと思い、大学院進学を考えました。研究活動における平均集団としての患者さんの診方と、日常診療における個々の患者さんに対しよく訴えを聴くナラティブな診方(日常診療も個々の患者を研究していると言えます)と両方バランスよく伸ばす必要があると思っています。また教室派遣で勤務した一般病院にも博士号を取得している先生が多数勤務しておられたことも刺激になりました。お陰様で社会人大学院生としてそれらを実践する機会に恵まれ充実した日々を送らせていただいております。当科は様々な合併症を抱えた腎疾患患者さんの診療や、小児も含む急性血液浄化療法、さらにシャント手術やカテーテル治療など、内科の枠を超えた非常に多面的な診療を行う非常に忙しい科ですが、そのぶん日常診療の中で研究テーマを見つけるチャンスに恵まれております。私の場合、とある重症患者さんを治療した際、栄養学に興味を持ちました。その後、院内の複数の職種で構成される栄養サポートチームに参加する機会もあり、栄養に関して考える時間が多くなりました。外来診療においても、単に薬を出すだけでなく、それぞれの患者さんが普段どんな食事をとったら良いのかと一緒に考えることが重要だと思っており、現在は清涼飲料水などに多く含まれる「果糖」の血圧に対する影響に関して研究を行なっております。最後に、なんとかここまで自分がやってこられたのは医局員全員で協力しあって臨床と研究のバランスよく行えるような相補的な環境づくりを全員で行なっているおかげだと思います。教授をはじめこのような機会を与えてくれた同僚の先生方に大変感謝しております。若い先生方にも当科で色々な経験をしてもらい、より良い医師になっていただければ嬉しいと思います。

佐藤 紗映子 先生(2011年本学卒業、2015年4月大学院入学、本学博士課程4年)


私は現在​​​、長谷川教授と 叶澤先生のご指導の下、糖尿病性腎症におけるSGLT2阻害薬の腎保護作用の可能性を検討する臨床研究を行っています。2​型​​​糖尿病の患者さんは年々増えており、糖尿病性腎症は現在透析導入となる疾患No.1です。SGLT2阻害薬は新規の糖尿​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​治療薬ですが、 その薬の特性から、腎障害を抑える可能性がある薬剤です。実際に EMPA-REG OUTCOMEという研究の中では、透析開始を55%低下させたなどの結果が発表されており、腎症の抑制がヒトでも証明され始めています。 私が大学院に進学した理由は、当教室​の研究室ではすでに​​​​​​​先輩方により臨床、基礎研究が盛んに行われており、研究の指導の 環境が整っていたこと、​​​​​​研究を行うことによって論理的に物事を考えるという習慣を身に着け、臨床の場でもそれを生かしたいと思ったからです。実際に入学後は、慣れない統計学​​​​​​​​​​や​​研究手法​​ などにやや苦戦することもありますが、実臨床では思いつかなかっ た疑問や興味が湧いたり、​経験ができたりと、​​​​とても勉強になっています。現在は学会発表​の経験もさせていただきながら​​​​、 少しずつ論文作成を進めているところです。指導教官の先生方はじめ、​​教室員の先生​方​​​​​​​​のご理解・ご協力のおかけで、子育てをしながらも研究を続けることができており、大変感謝しております。

高栁 佳織 さん (2002年石巻専修大学大学院理工学研究科生命科学専攻 修士課程修了、2015年10月大学院入学、徳島大学大学院栄養生命科学教育部分子栄養学 博士過程3年)


黒澤 明 先生 (2008年東京慈恵会医科大学卒業、2018年4月大学院入学、本学博士課程1年)


私は全身を診られる医師になりたいと考え、内科の中でも様々な病態を扱う腎・高血圧内科に入局しました。腎・高血圧内科は腎炎、膠原病、血管炎、水・電解質異常、透析、バスキュラーアクセス、腎移植、高血圧など、多岐にわたった疾患を専門としています。そして、腎障害患者の多くは多臓器疾患を合併している事が多く、結果的に全身的な管理を要します。このような環境では当然多くの臨床的問題に遭遇し、まだ解明されていない病態やエビデンスの蓄積されていない治療法など多くの疑問にぶつかります。そのような疑問を自ら解決できるようになりたいと考え、大学院入学を希望しました。
 これまでの医師10年間に遭遇した臨床的疑問は数知れません。しかし、それらに対する解決方法は、専門書から知識を得ることや上級医から指導されることが主であり、受け身な姿勢であったと考えます。問題を解決するための方法を考え、得られたデータを解析し、自ら考えた仮説を立証する方法を身につけるためには大学院が最適な環境と考えました。自ら興味を持った事に対して、とことん突き詰めていきたいと考えています。

寺尾 政昭 先生 (2014年川崎医科大学卒業、2018年4月大学院入学、本学博士課程1年)


私は医師になってから、臨床医として実際に自分で患者さんを診察し、治療を行うという本来自分が考えていた医師としての仕事を行っていました。しかし研究に関する様々な論文を読むことが患者さんの治療や診断の助けとなった経験を積み重ねるうちに、私も患者さんを助けるための研究に興味を持つようになりました。また、ある程度一人で診ることができる疾患が増えてきたところで、より専門性のある知識を身につけたいとも考えるようになってきました。
私は腎臓の分野の中でも腎不全に至る過程で腎の機能が様々に変化し、新たな環境に適応していくことに興味を覚え、基礎的に解明したいと考えています。大学院での経験で臨床医として一段と成長し、またこれからの医療の発展に貢献していきたいと考えています。
今後臨床を中心に考えている人も研究に興味のある人も多様に受け入れて頂けることができるのが当科の特徴だと思っております。
ぜひ当教室で人を診る医療を一緒にしましょう。