血液浄化センター

血液透析濾過部門

血液透析(HD)・血液透析濾過(HDF)部門のご紹介

―“安心・安全で快適な透析”を目指して―

なぜ透析が必要になるのでしょうか

腎臓は、体の中で「血液をきれいにする」「余分な水分を体外に出す」「体のバランスを整える」という重要な働きをしています。しかし腎臓の機能が低下してしまい、老廃物や水分を十分に排出できなくなると、

・むくみ
・倦怠感
・息苦しさ
・食欲低下
・かゆみ
・意識障害

などの症状が現れ、生命に危険が及びます。
透析は、低下した腎臓の働きを機械で補い、血液をきれいにする治療です。
これによって、腎臓の機能が戻らなくても、安全に生活を続けることができるようになります。
当院では、

・血液透析(HD)
・血液透析濾過(HDF)

の2つの治療を行い、患者さん一人ひとりに最適な方法を選択しています。



血液透析(HD)とは?

血液透析は、透析治療の中で最も一般的な方法です。

● 血液透析のしくみ

血液をダイアライザ(人工腎臓)と呼ばれるフィルタに通し、“拡散”という仕組みで老廃物や余分な電解質(カリウム、リンなど)を取り除きます。また“限外濾過”という圧力を使って、余分な水分も同時に取り除きます。

● 血液透析の回路(イメージ)

1. シャント(またはカテーテル)から血液を取り出す
2.血液ポンプでダイアライザへ送る
3.ダイアライザ内で老廃物を除去
4.きれいになった血液を体に戻す

透析装置からは、常に新しい透析液がフィルタの外側を流れ、血液と入れ替わるように老廃物を除去します。

● 血液透析で除去しやすいもの

・尿素窒素
・クレアチニン
・カリウム
・アンモニア

などの「小さな分子」を効率よく取り除きます。



血液透析濾過(HDF)とは?

HDFは、血液透析(HD)の“拡散”と、血液濾過(HF)の“限外濾過”を組み合わせた治療です。

● HDFの特徴

・透析では取りにくい中分子・大きめの分子も除去できる
・皮膚のかゆみやレストレスレッグス症候群の軽減が期待できる
・血圧低下が起こりにくく、透析中の不快症状が減ることがある

● HDFの回路(イメージ)

HDの回路に加え、

補充液(置換液)を血液中に加える
ことで、濾過で失われた水分を補いながら治療を行います。

HDFには、

・前希釈(血液を薄めてから濾過する方式)
・後希釈(濾過したあとに補充する方式)
がありますが、当院では安全性と除去効率を考慮し、主にオンラインHDFを採用しています。

● オンラインHDFとは

透析液を高性能フィルターで2段階以上ろ過し、補充液として使用できるようにした治療方法です。
これにより、大量の清潔な補充液を利用でき、中分子除去が大幅に向上しています。



HDとHDF、どちらが良いの?

どちらにもメリットがあります。
当院では、症状・検査値・生活背景を総合的に判断し、最適な治療法を選択しています。

● HDが向いている場合

・小分子の老廃物が中心で問題となる
・血圧が安定している
・栄養状態に不安がある(HDFはたんぱく質がやや抜けやすい)

● HDFが向いている場合

・透析中の血圧低下がある
・かゆみ、不眠、レストレスレッグス症候群がつらい
・長期透析で関節痛や手のしびれがある
・中分子(β2MG、α1MG)が除去しづらい

治療方法は、患者さんの状態と希望を伺いながら決定します。



透析で起こりうる症状・合併症

透析は安全性の高い治療ですが、主に以下のような症状が起こることがあります。

● 血圧低下

疲労感、吐き気、こむら返りなどを伴うことがあります。
HDFは血圧低下を防ぎやすいという利点があります

● 皮膚のかゆみ

尿毒素が蓄積するとかゆみが強くなることがあります。
HDFに変更して改善する患者さんが多くいます。

● レストレスレッグス症候群

足がむずむずして眠れない症状で、HDFで軽減する場合があります。

● 栄養低下(アルブミンの減少)

HDFでは良質なたんぱくも少し除去されるため、栄養のチェックを定期的に行っています。
当院では、医師・看護師・臨床工学技士・管理栄養士がチームで合併症対策を行い、安心して治療できる環境を整えています。



当院のこだわり:透析液清浄化への徹底した取り組み

安全で質の高い透析を行うためには、透析液の清浄化(クリーンな透析液の使用)が非常に重要です。
当院では以下の取り組みを徹底しています。

● 透析液の多段階ろ過(エンドトキシンカットフィルター使用)

透析液の供給ラインに複数のフィルターを配置し、細菌・エンドトキシンを極限まで除去しています。

● エンドトキシン値は「測定感度以下」を維持

当院では、定期監視を徹底し、エンドトキシン濃度が検出限界以下(0.001 EU/mL)を継続して達成しています。
これは全国でも高水準の清浄度であり、

・透析アミロイドーシスの予防
・炎症の抑制
・かゆみ・倦怠感の軽減

にもつながると考えられています。

● 清浄化透析液はHD/HDF双方で使用

透析液の質はすべての患者さんの治療成績に関わるため、HD・HDFどちらも同じ基準で「超純粋透析液」を使用しています。



最後に

血液透析も血液透析濾過も、患者さんの生活を守るための大切な治療です。
当院では、患者さんの症状・生活スタイル・希望に合わせた治療選択を行い、安全で快適な透析を継続していただけるよう全スタッフが全力でサポートしています。

透析でお困りの症状があれば、どんな些細なことでもご相談ください。

より良い透析を一緒に作っていくことを目指しています。