患者さんへ

その他の疾患

膠原病・血管炎に伴う腎障害、血液疾患に伴う腎障害

高齢化と共に近年増加しているANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)の他、IgA血管炎、抗糸球体基底膜抗体関連腎症などの診療実績が、全国平均の4-5倍程度と多いことも当科の特徴です。これらの疾患に対してはステロイドホルモン薬、免疫抑制薬、特殊血液浄化療法、生物製剤などを組み合わせた集学的治療が必要となりますが、治療効果と共に有害事象・副作用を総合的に判断し、最良の治療方針をお勧めするように心がけています。

またSLEに伴うループス腎炎、サルコイドーシスなどについても豊富な治療経験をもとに、個々の患者さんに最も合った治療方針をお勧めしています。
多発性骨髄腫に伴う腎障害の治療経験も多く、原疾患を当科で診断するケースも多く見られます。血液内科との緊密な連携により腎障害、原疾患の両者に対して適切な治療方針をお勧めしています。
この他、希少疾患とされる単クローン性免疫グロブリン沈着症(重鎖沈着症やPGNMIDなど)、キャッスルマン病、TAFRO症候群などの診療数が多いことも大きな特徴で、多種多様な腎疾患の診断、治療に多くの実績を挙げています。



遺伝性多発性嚢胞腎(ADPKD)

かつてこの病気は、ほとんどの人が腎不全になってしまう、遺伝性の病気だから治療法がない、と言われていました。しかし最近の研究の進歩により、腎不全になる患者さんは50%以下である事や、様々な治療、生活上の注意により病気の進行を抑えられることが分かってきました。さらに日本で開発された新薬(サムスカ)が2015年から使用できるようになり、この病気の診療は大きく変わってきています。当科では関連施設を併せ130名以上の患者さんを拝見しており、埼玉県内の約10%の患者さんの診療にあたっています。また長年新薬の臨床治験に関わり、県内最多、全国的にも上位のサムスカの使用経験(2021年1月現在で65例)も有しており、かつ全国平均を上回る治療実績を挙げています(有効率 76%, 2018年12月現在)。新薬の登場により、この薬剤のみが注目されていますが、全ての患者さんに新薬が必要なわけではなく、また新薬の効果を最大限に発揮するためには既存の治療や生活指導との組み合わせが必要であることも分かってきており、総合的な診療が重要です。当科ではこの疾患の専門外来を設置し、この疾患の診療経験が豊富な医師が診療にあたっています。




糖尿病腎症

糖尿病の進行が軽微な段階から当科での診療を積極的に行い、腎機能の保持に重点を置いた診療を行っています。また最近開発された新規薬剤の腎臓への有効性を検証する研究も積極的に行っており、その成果を通常の診療に取り入れています。

糖尿病のじん臓合併症重症化予防への取り組み

厚生労働省、埼玉県では糖尿病患者さんの診療を進めるため、検診データを活用した大規模な診療支援の構築を進めています。糖尿病では、何より医療機関への受診を継続することが重要です。

糖尿病の腎臓合併症、糖尿病腎症では、病気がかなり進むまで腎機能(クレアチニンやeGFR)に異常が見られません。逆にこうした数値に異常が見られると、透析までの平均期間は2〜3年と言われています。また持続する蛋白尿は病気が進行した印であり、透析まで平均5〜6年と言われており、定期的に尿検査を行うことがとても大切です。埼玉県では県医師会、薬剤師会、栄養士会や県庁などが一体となった糖尿病腎症重症化予防プログラムを策定し、患者さんの継続的な医療機関受診と、一度は腎疾患専門医療機関へ紹介・受診して頂き、腎臓障害の進展防止に的を絞った治療を行って頂けるよう、かかりつけの先生と腎臓専門医との連携体制の構築を進めています。国、県、医師会一体となった取り組みの、県内唯一の腎臓内科幹事施設として、可能な限り病診並診の体制を取りながら、糖尿病腎症の重症化予防に取り組んでいます。